人間の記憶違いとコンピューターの記録違いによる伝言ゲームを通じて、物語がどのように変容していくのかを追跡する実験。

2023年7月8日から13日まで金沢21世紀美術館プロジェクト工房にて、
「オープンラボ」としてインタラクティブインスタレーションの形で実施されました。

設計図

Step 1 - Listening to the story read aloud by the computer.

① :ラップトップ1が読み上げる物語を聞き取る

②:①で聞いた話をラップトップ2で録音する

③:②で話した物語がアーカイブに登録される

④:次に訪れた来場者は前の来場者が残した物語を聞き取る

(①−③の手順を繰り返す)

Extract from the database - the visitors can check how the story has been modified

この実験では、コンピューターの自動音声、自動読み上げ機能を介し、人間とコンピューターでの伝言ゲームを実行することにより、どの様に物語が変容していくかのプロセスを参加者と共に目撃した。
ここでは、金沢市に伝えられる「芋掘り五郎」という物語を実験の起点となる物語とした。5日間で合計30名の参加者により「芋掘り五郎」の物語は形を変え、途中で五郎はお爺さんになったのち消滅し、芋を掘る話が金を掘る話に変容した。

ここで分かったのは、金沢出身の参加者がいる場合、地域の昔話としてこの有名な話を知っており、五郎という名前が時に戻ってくることがあった。

伝言ゲームという形をとっていたため、変化することが面白いと気づく参加者もいた。伝言ゲームとは変化しないと面白くないという前提のもと行われるゲームであり、この気づきは、正解が何であるかを真剣に模索する日本社会に生きる我々にとっては、正解は行く通りも存在するという結果を目撃することは意義深い発見であった。

テクノロジーの介入により、何百年もかけて変化するはずだった物語の変化スピードが加速したことを視覚化することができました。このことから、通常は大きな変化の流れに身を置いているために気付かなかった、私たち自身が変化の一部を果たしている役割も垣間見ることができたのです。

また、この変容する物語は変化のポジティブな面にフォーカスしている作品となるが、みようによってはフェイクニュースを肯定するような見方も出来る側面もあるため、そのことについても考察してみたいと感じた。

最後に、別のプロジェクトで金沢に訪れていたHelen Papaioannouと共に、こちらのオープンラボで集めた「物語が変容する過程」を素材として約5分間のライブパフォーマンスを行なった。そこではライブで演奏することの意味、デジタルのアーカイブ性などもゲストファシリテーターの澤隆志さんと共にパフォーマンス後語り合った。
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